Lesson5-6 ビジネスパーソンの疲労とサウナ①

ここからは2セクションを通して、ビジネスパーソンにとっては大敵の「疲労」にフォーカスした内容を学んでいきます。

「疲労」と一言でまとめられていますが、実は疲労には種類があり、それぞれ適切な休息方法があることはあまり意識されていません。

まずは疲労という敵を知り、的確なケアを行えるようになりましょう。

現代人にとっての疲労とは

パーソナルコンピュータやスマートフォンが登場して以降、疲労の形が大きく変化しました。パソコンでの長時間作業による肩こりや腰痛、デジタル画面の長時間閲覧による眼精疲労などは、現代的な疲労といえます。

またこれらのデジタル機器やインターネット網の発達により、プライベートとビジネスの境界線が曖昧になったことは、私達の生活にも大きな変化をもたらしました。帰宅後や休日でも仕事のことが頭から離れず、やろうと思えばいくらでも仕事ができてしまう環境では精神面の消耗も大きく、心身ともにしっかりと休息を取れないために、疲労が蓄積しやすい状況が生まれます。

疲労感が強くなると、行動の積極性や思考力が低下してしまうため、結果として仕事のパフォーマンスの低下にも繋がります。

体調管理・疲労回復のための基本要素

心身ともに健康な状態で仕事や私生活を送るためには、適切な自己管理・体調管理が必要となります。

まず基本となるのは食事、運動、睡眠です。

当たり前のことだとわかっていても、忙しくなればなるほどこれらは疎かになりがちです。しかしやはりこれらは日常の体調管理・疲労回復において大事な基本の三大要素となります。

「仕事ができる」と言われている人ほど体調管理の重要性を理解しているので、バランスの良い食事、定期的な運動、十分な睡眠を確保しています。その上で効率的な休息方法をとり、疲労を蓄積させない工夫を行っています。

では、効率的な休息法とはどのようなものなのでしょうか。まずは2つの休息とその違いから確認していきましょう。

疲労回復のための2つの休息

心身の疲労を回復させるためには、大きく分けて「消極的休息」と「積極的休息」があります。

消極的休息

体を動かさないで、静かな場所ゆっくりと過ごす休息方法です。昼寝、映画鑑賞、瞑想など、体と頭を休ませることで回復を図ります。

また、日常的に寝不足な場合は、十分な睡眠を取ることで精神的な疲労の回復が期待できます。

積極的休息

体を動かして全身の血流をよくすることで疲労回復を行う休息方法です。軽いランニング、ストレッチ、ヨガなど適度な運動や、ぬるめのお湯での半身浴をすることで、血流がアップし疲労感が軽減します。

また、アクティブに過ごすことで精神的なリフレッシュにも繋がり、軽度の運動によりセロトニンが分泌されることで、心の回復も期待できます。
(※激しすぎる運動は新たな肉体疲労につながるため、次の日に疲れを残さない程度の軽い運動にすることがポイントです。)

疲れがたまっていると一日中ベットから出たくないと感じることもあるかもしれませんが、実は積極的休息による回復効果はとても大きいことが近年の研究でわかってきています。

日中は軽い運動でアクティブに過ごして「積極的休息」を、夜は半身浴をしたり早めの睡眠をとることで「消極的休息」を行うなど、2つをうまく組み合わせることで疲労回復の効率が格段によくなります。

サウナでの「消極的休息」と「積極的休息」

サウナでは、「消極的休息」と「積極的休息」の両方を一度に行うことができます。それがサウナブームの代表的なサウナの入浴方法である、サウナ、水風呂、休憩(外気浴)温冷交代浴です。

(温冷交代浴について改めて確認したい場合はLesson3-4を復習してみましょう)

サウナでできる「消極的休息」

サウナの休憩(外気浴)では、ぼんやりと何もせずにくつろいだ状態で過ごします。水分補給を行ってはいますが、自分から体を動かすことはありません。この状態は「消極的休息」に当てはまります。

サウナでできる「積極的休息」

サウナ室内にいると大量の汗をかきます。この状態は、自転車で運動をしているぐらいの負荷があるという研究(※)もあります。動いていないように感じますが、実は体全体は運動をしているぐらいに血流が良くなっているのです。この状態は「積極的休息」に当てはまります。

(※研究内容が気になる方は、「Lesson4-4 医学的に注目されるサウナ」を復習してみましょう)

このように、パソコンやスマートフォンなどのデジタルデバイスの使用が公私ともに浸透した現代社会では、疲労の形が変化し、慢性的な肉体疲労・精神疲労が蓄積しやすい環境であると言えます。適切な体調管理の重要性が高まってる状況において、消極的休息と積極的休息の両方が行えるサウナは、効率的な疲労回復の場としても期待されています。

次のセクションでは「疲労」について詳しく学んでいきましょう。休息と同様、疲労にも種類があります。