Lesson2-1 世界各国のサウナ

入浴法の一つとして人気のサウナですが、実は日本やフィンランドだけではなく、世界各国にさまざまなサウナがあることをご存知でしょうか。

Lesson2では、世界各国のサウナ文化について学んでいきましょう。

世界各国のサウナ

サウナとは、蒸気や熱気を用いた蒸気浴(蒸し風呂)であり、このような入浴法は世界中に存在します。その様式や作法はさまざまで、蒸気浴とひとことでまとめることができないほど、各国の独自の文化として発展しているのです。

サウナ発祥の地とされるフィンランド、パフォーマンス性の高いサウナが人気のドイツ、そして我らが日本については後ほどしっかりと学習するので、ここではその他の国々のサウナについて見ていきましょう。

イタリア(古代ローマ):浴場

イタリアは火山国でもあり数多くの温泉地があります。
現代では、温泉地に併設したサウナやスパがあり、古代ローマと同様に、温度やテーマが異なる浴場を循環しながら入浴が楽しめます。

4世紀半ばの古代ローマでは、浴場が大流行していました。美術館や図書館、庭園などと併設しており浴場にも美術的なこだわりがみられました。
発汗室、冷浴室、熱浴室などの温度差がある浴室を循環しながら入浴するのが定番のスタイルです。

ロシア:バーニャ(バーニア)

かまど(ペチカ)内の熱した石に水をかけることで大量の蒸気を発生させます。

薪を使って室内を加熱するタイプのサウナです。
フィンランドのスモークサウナ(※Lesson2-2参照)と原理は同じですが、スモークサウナとは異なり、常に湯気を室内に充満しながら入浴を行います。湿度が80〜100%とかなり高湿となることから、世界一熱いサウナとしても知られています。

リトアニア:ウィスキング

サウナ室にはベッドが設置されており、ウィスキングマスターの施術を受けることができます。

サウナの入浴法の一つです。サウナ室で横になり、自分とサウナ師(ウィスキングマスター)と一対一になった空間で、マッサージが行われます。
シラカバの葉を束ねたもの(ヴィヒタ※詳しくは「サウナ用語」参照)で全身を叩くことで血流を改善して発汗を促進します。施術中の外気浴や入浴などは、すべてウィスキングマスターの指示に従って行います。

トルコ:ハマム(ハンマーム)

高い天井のドームいっぱいに蒸気が充満しています。

トルコを中心に、中東全域にみられるのがハマム(ハンマーム)です。伝統的な蒸し風呂の公衆浴場で、浴槽から出る湯気で汗を流します。
熱い風呂と冷たい風呂の循環入浴に加えて、あかすりマッサージや脱毛、音楽や瞑想などを楽しみます。

メキシコ:テマスカル

ドーム状の小屋は、入り口が低く子宮を連想させる作りになっています。

メキシコ・オアハカ州で伝統的に行われているサウナです。
ドーム型の部屋の中心に焼き石を置き、水をかけて水蒸気を発生させます。薬草が入った水を用いることもあり、ドーム内でのストレッチなどを行ったり、サウナあとにマッサージを行うなど、現在ではリラクゼーション性の高いサウナとなっています。

かつては儀式的な要素もあった「テマスカル」は、「蒸気の家」(「テマス」=蒸気、「カル」=家)という意味のナワトル語です。
テマスカルで用いられるドームは子宮内部を模しているのが特徴で、身体のリラクゼーション効果とともに、「新しい自分への生まれ変わり」という精神デトックスの意味合いも込められています。

韓国:汗蒸幕

ドーム状になっているサウナは高温で湿度も高い。

大きな窯の中に入浴するタイプのサウナです。燃料を燃やすことで蒸された内部は高温で、すぐに汗が出ます。発汗した後はお湯や水を浴びて汚れを落とします。
サウナ内は90℃〜150℃とかなり高温になるため、麻布をかぶって暑さを防ぎます。

このように、サウナは国によってさまざまな呼び名、様式で発展しており、その国の文化に根付きながら人々に親しまれています。

次のセクションからは、大きな違いのあるフィンランド・ドイツ・日本のサウナについて学んでいきましょう。