
サウナ文化を語る上でフィンランドの存在は欠かすことができません。そもそも「sauna(サウナ)」という言葉自体が、実はフィンランド語なのです。
サウナ発祥の地であるとされているフィンランドですが、近年のサウナブームで注目度が高まっている中、2020年にはフィンランド式サウナの伝統文化がユネスコ無形文化遺産に登録されたことで、世界中により広く知られる事となりました。
フィンランドの人々にとってのサウナとは
フィンランドの人々にとって、サウナとはどのような存在なのでしょうか。
フィンランドでは人生で初めてのサウナ体験は早く、なんと生後数ヶ月から訪れることもあります。人口の約9割が週に1回はサウナを利用しているというデータもあり、生活に欠かせない存在です。
かつては出産や死期でも利用されたとされており、フィンランドの人々にとって、サウナとは生活とは切り離せない人生に寄り添うものといえるでしょう。
フィンランドにあるサウナの種類
フィンランドでは約550万人の人口に対してサウナの数は約300万もあるとされています。湖畔の個人宅から都心のアパート、ジムなどの公共施設からヘルシンキにある国会議事堂まで、設置場所は様々で、サウナの種類もいろいろなものがあります。
ここでは代表的な3つのサウナをご紹介します。
スモークサウナ

煙突のないストーブで薪を燃やして室内を暖める伝統的なサウナです。
6~8時間かけて暖められた室内は、100℃を超え、室内に煙が充満しているため入る前には煙を外に出してからとなります。
スモークの独特な香りが壁や屋根へと染みこんでいるので建物が黒くなります。
木材加熱式サウナ
入浴までに時間がかかるスモークサウナを改良したサウナです。
金属製のストーブで煙突があるので煙を外に出す手間が少なくなり、室内の温度調整も楽になりました。
電気加熱式サウナ
フィンランドの都市部で利用されているサウナです。
火を使わずに安全性が高く、木材が不要で、煙害もありません。
手軽に利用できるのですが、スモークの香りがしにくいため伝統的なサウナを希望している方にはあまり向いていません。
フィンランドにあるサウナの特徴
フィンランドのサウナは別名で「フィンランド式サウナ」、「蒸気式サウナ」とも呼ばれています。
サウナの特徴・・・ロウリュ

熱した石の上(サウナストーン)に水をかけロウリュ(蒸気)を発生させて入浴するのが特徴です。これにより湿度を好みに調整でき、日本で主流のドライサウナと比較すると高湿となります。また70〜80℃の中温でも湿度が高いため体感温度では実際の温度よりも熱く感じます。
過ごし方・・・交流とリラックス
サウナ内では、家族や友人、同僚などと交流しながら過ごします。もちろん、一人でリラックスしながら入ることもあります。
ヴィヒタ(※詳しくは「サウナ用語集」参照)を使って自分の体を叩き、マッサージをすることもあります。
入浴時間・・・数十分〜数時間
入浴時間はひとそれぞれで、決まった時間はありません。
日々の入浴として数十分、長期のお休みには郊外にあるコテージで数時間の入浴を行うことも珍しくありません。
そのため、入浴中の休憩時間に食事を楽しむサウナフードという文化も根付いています。
水風呂・・・自然の水風呂

サウナで温まった後には、自然の水風呂を利用します。海や湖などに飛び込むことで開放感を味わいます。
近くに自然が少ない場所では、シャワーを水風呂代わりに使うこともあります。
設置場所・・・湖畔や自宅、公共施設など

フィンランドでは「サウナは自然と一体化するもの」という考え方があり、伝統的なフィンランド式サウナは森や湖畔などに設置されています。湖のそばに設置されている場合には、サウナ後はそのまま飛び込むこともあります。
そのほか日本にあるお風呂のように、自宅・ホテル・公衆浴場などにもサウナがあり、観光地では、観覧車の中・ボートの上・バスの中など変わった場所にもサウナがあり、また、世界中にあるフィンランド大使館やヘルシンキの国会議事堂などの公共施設にもサウナが設置されているのが特徴です。
このように、フィンランドの人々にとってサウナは生活に欠かせないものです。伝統的でフィンランドらしさあふれるスモークサウナ、煙突の設置により利便性を上げ現在多くのサウナで利用されている木材加熱式サウナなど、伝統と利便性の両立を図りながら多くの人に愛されています。
次のセクションではドイツのサウナについてご紹介します。