Lesson4-2 サウナの効用②

「サウナには水風呂が欠かせない」と言われますが、水風呂には一体どのような効果があるのでしょうか。

水風呂利用による自律神経への影響と、サウナ休憩中のととのいについて、それぞれに起こる体の反応を確認していきます。

水風呂と休憩による自律神経への影響

サウナ入浴前後に水風呂や休憩の効果について、とくに注目したいのが「自律神経」への影響です。

近年注目されることが多いこの「自律神経」という言葉ですが、そもそも「自律神経」となんなのでしょうか。

自律神経は、運動神経や知覚神経とは異なり、私達の意識でコントロールすることができない神経系です。
昼夜問わず私達の体内で内蔵や血流のコントロールを行っており、交感神経副交感神経がバランスよく働くことで、日中の活発な行動や夜のスムーズな休息への移行など、健康な状態を維持することができます。

しかし、ストレスや過労、不規則な生活などでこのバランスが乱れると、体に様々な不調が出始めます。頭痛、肩こり、不眠、過度の緊張を伴う「自律神経失調症」や、腸の蠕動運動のコントロールがうまく働かなくなることで起こる「過敏性腸症候群」、呼吸のコントロールができないことで起こる「過呼吸」や、胃酸の過剰分泌による起こる「神経性胃炎」なども、自律神経が乱れることで起こる症状です。

このような不調を避けるためには、日常的に自律神経を整える工夫が必要となります。

サウナでは、熱による刺激で交感神経が活性化され、水風呂の冷たさによる刺激でさらに交感神経が活性化されます。これが休憩(外気浴)によって一気に副交感神経優位の状態になります。

このように、強制的に交感神経と副交感神経が交互に活性化されるようなシチュエーションはそうそうありません。この特殊なサイクルをサウナの温冷交代浴により繰り返すことで、自律神経のバランスを整える効果が期待できるのです。

自律神経が整うことで得られるメリット

深く眠れるようになる

自律神経のバランスが整うと、布団に入ったときに副交感神経への切り替えがスムーズになり入眠しやすくなります。また、深い睡眠によって熟眠感を得られやすくなります。夜中に何度も目が覚める、寝付きが悪いなど、睡眠に関する悩み解消に役立ちます。

末端の冷えの改善

抹消血管の血流調整を行っている自律神経のバランスが乱れていると、手足の末端に冷えを感じることがあります。サウナ・水風呂・休憩を繰り返し行うことで、自律神経の働きが整い、手足の冷えが改善されていきます。

婦人科系の悩みの改善

デリケートな女性の体は、体内の臓器が冷えや自律神経の乱れにより婦人科系の悩みが発生することがあります。月経不順PMS(月経前症候群)、更年期障害などが気になる方は、副交感神経優位なリラックスの状態を作ったり、自律神経の働きを整えることで改善が期待できます。

サウナ休憩中の「ととのう」とは

サウナ休憩でリラックスすると「ととのう」状態に導かれることがあります。「ととのう」の科学的な根拠に関してはまだ判明していませんが、次のようなことが起こっていると考えられています。

深いリラックス状態

サウナ室の熱の刺激と水風呂の冷たい刺激で、交感神経が極限まで優位になった後、心地よい温度の外気にふれて休憩をすることで次第に副交感神経優位となります。

また、水風呂で収縮した血管が休憩することで一気に広がって血流が全身を巡りはじめますが、この自律神経のバランスと血流の変化により深いリラックス状態になると考えられています。

神経の興奮を鎮める

温度差のあるサウナ室と水風呂を利用することで体と心に刺激を与えます。その後に20~30分ほど長めの休憩をとることで、ストレスの多い生活で自分でも気がつかないような神経の興奮を静めやすくなると言われています。

ストレスによっていろいろな症状が起こっているときには、それらを解消する手助けになるかもしれません。

「ととのう」という状態は、神経の高ぶりが静まった深いリラックス状態のことを表現する言葉として用いられています。

このように、サウナ利用に水風呂と休憩を加えて交感神経と副交感神経を刺激することで、自律神経のバランスを整える効果が期待できます。自律神経の乱れは不眠や体調不良につながるため、このバランスを整えることは男女問わず重要であり、サウナ利用の大きなメリットと言えるでしょう。

次のセクションでは、「心」に注目してサウナを利用のメリットを考えてきます。