Lesson2-4　日本のサウナ

日本古来のサウナに似た文化

現在第三次サウナブームといわれている日本ですが、実は現在のサウナが浸透する前から、サウナに似た文化が古来より存在していました。温泉大国の日本ではお風呂や温泉に浸かる温水浴が主流ですが、時代を遡ると熱気浴、蒸気浴が利用されていた時代もあったのです。

奈良時代～平安時代 – 沐浴の伝来と蒸気浴の広まり

仏教が伝来したころには、沐浴によって功徳が積めると言われていました。
聖徳太子が仏教を積極的に取り入れ、東大寺には大湯屋という浴室が設置され、僧侶や尼以外にも利用ができるようになり、庶民にも入浴が広まりました。

この時代は、自然を利用した蒸気浴が一般的で、薪を燃やす、焼き石に水をかけるなどで作られた蒸気を利用して、自然の洞窟や大きな釜の中に入って入浴をしていました。

平安時代の末期には、京都に湯屋が誕生しました。今でいうところの公衆浴場ですが私たちが想像する浴場とは異なり、まだまだ蒸気浴が主流でした。

鎌倉時代～室町時代 – 蒸し風呂へと変化

貴族の間で入浴が話題となり、いろいろな絵巻物にも登場するようになりました。幕府や寺院によって、定期的に庶民に入浴が開放されていました。蒸気を外から取り入れる蒸し風呂など、蒸気浴の形にやや変化がみられています。

安土桃山時代～江戸時代 – 湯風呂への移行期

蒸気浴から湯風呂への移行期だと言われているのがこの時代です。町ごとに銭湯があると言われるほど、入浴文化が広まりました。
下半身を湯につけて上半身を蒸気で蒸す「戸棚風呂」や、首まで湯につかる「据風呂」、桶の底に釜をつける「五右衛門風呂」などが登場しました。

明治時代 – 温水浴が主流

この頃には、蒸気浴ではなく温水浴が主流になっていきます。
私たちが銭湯と聞いて思い浮かぶイメージに近い「改良風呂」が登場しました。
「改良風呂」では、湯船の縁を高くして汚れが入りにくくなり、洗い場は広く、屋根に湯気抜きも設置されました。

日本にあるサウナの特徴

日本のサウナ文化は世界的にみても独特と言われて、海外のサウナ愛好者からも注目されているのをご存知でしょうか。

ヨーロッパではサウナは伝統的に神聖なものと考えられており、精神統一の場所としての役割も担っています。そのため、日本のようにサウナ内にテレビがあったり、休憩室で漫画が読めたり、サウナ施設に宿泊できることはとても新鮮に感じられるようです。

またサウナ室は「乾式サウナ（ドライサウナ）」が一般的ですが、「湿式サウナ」、「ミストサウナ」、「スチームサウナ」など施設によってさまざまな種類があります。

バリエーション豊かな日本のサウナ

設備によるバリエーション

・乾式サウナ
・ガスストーブ式サウナ
・遠赤外線サウナ
・電気ストーブ式サウナ
・コンフォート（オートロウリュ）サウナ
・薪ストーブ式サウナ
・ミストサウナ
・スチームサウナ　など
オプションによるバリエーション

・塩
・氷
・漢方
・アロマミスト
・泥　など

ここでは、昔から広く利用されている「乾式サウナ（ドライサウナ）」をみていきましょう。

乾式サウナの特徴・・・高温・低湿

室温は90～100℃、湿度は10％前後と高温・低湿が特徴です。
電気ストーブやガスを使って室内が暖められており短時間で汗を出すことができます。

過ごし方・・・熱さにじっと耐える

室内は階段状になっており、どこに座ってもかまいません。基本的には階段に腰掛ける形で座り、熱さにじっと耐えながら汗を流します。
座る場所が一段違うだけでも体感温度は10℃も異なるので、入浴時間や体調に合わせて、座る場所を変えるとよいでしょう。

入浴時間・・・10分程度

入浴時間はひとそれぞれで、決まった時間はありません。乾式サウナは高温のため、10分程度で一度外に出る方が多く水風呂や休憩などを行ってから、繰り返し入浴することもあります。

水風呂・・・低温度の水風呂

大浴場に水風呂がある場合は、サウナ後に利用できることがほとんどです。
シャワーを使って体を冷やすこともあります。

設置場所・・・宿泊施設や銭湯など

日本では、宿泊施設、スーパー銭湯、ジムなどに併設されていることがほとんどです。最近では、サウナブームの影響でサウナ単独の施設も増えつつあります。

日本のロウリュとアウフグース

サウナの第三次ブームでは、フィンランド式サウナが話題になりました。その中でもフィンランドで行われている「ロウリュ（蒸気）」は、湿度の高いサウナを体験できるとして人気を集めています。

日本では、自分自身で行うロウリュを「セルフロウリュ」、機械によって自動的に行われるロウリュを「オートロウリュ」として区別しています。

国内の施設では、「ロウリュ」や「熱波」という言葉でドイツのアウフグースを模したイベントを行っているところもあります。
ただし、ドイツのように大規模なパフォーマンスは行わずに、「タオルを使って熱波を広げること」、「タオルや大きな団扇で入浴者に熱波を与えること」を目的に行っていることがほとんどです。

まとめ

サウナは世界中に存在しており、フィンランドのように長い時代を経てもそのまま受け継がれているものもあれば、ドイツのように新しい発展を遂げたものもあります。
また温度や湿度、入浴法やルールなどにも大きな違いがありますが、サウナ愛好家たちはそれぞれの違いを楽しみながら、異文化のサウナを堪能しています。

Lesson３からは、サウナの入浴方法について詳しく学んでいきましょう。